タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表 題作。学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。限りなく残酷でいて、静謐な美しさ を湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。
タイトルが強烈な8篇からなる短編集。
このミスで一位だった作品らしいんだけど、全体的な傾向としてはミステリーよりもむしろサイコホラー色が強く、大半が気分が悪くなるくらいにグロテスクなものであり、かなり読み手を選ぶ。特に最後の「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」はあまりに残酷すぎて、本気で読むのをやめようかと思ったくらい。
そういう血なまぐさい要素を除けば、基本的にホラーテイストながらもおとぎ話やSFっぽい要素も入ってたりしてかなりバラエティに富んだ作品群で、結末にあっと言わせるような展開が多く、どことなく星新一っぽさを感じた。
ただ、どれも悲惨な結末であることが前提であるため、一気に読むと少し食傷気味になる。本当は一つ一つ間を空けて読んだ方がいいんだろうけど、読んでいて気持ち悪くなってきた僕はさっさと読み終わりたくて仕方がなかった。面白いんだけど、二度と読み返したくないというかなり印象的な作品だった。
この作品が気に入った人は、多島斗志之の「少年たちのおだやかな日々」も読んでみるといいかもしれない。こっちはあんまりグロくはないけど、どれも救われない短編集という点で共通している。
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