星弓家の兄弟姉妹は、みんな特殊なチカラを持っている。彩美。自称運び屋。魔法を自在に操る。七美。無敵。宇宙スケールで戦うバカ。軋人。生命の流れを思 いのままにする。軋奈。生命を創り出す力を持っていた。美智乃。大食漢。回復魔法の使い手。刻人。正義漢。優しいけれど怪力。彼らは世界の危機をめぐる事 件に巻き込まれ、否応なくそれを解決しなければならない星のもとに生まれていた。あるとき長男の軋人は自らと世界と妹の、三つの危機に同時に直面するが ―。世界平和を守る一家が織りなす、おかしくてあたたかい物語。第13回電撃小説大賞「金賞」受賞作。
アメコミのスーパーヒーローみたいな超能力を持った一家の物語。といっても、この小説で描かれているのは、悪の組織との死闘でも、地球侵略をたくらむ宇宙人との抗争でもなく、あくまでホームドラマ。世界の危機は簡単に救えても、家族の危機は簡単には救えないと言うところが面白い。
最初は俺tueeeな中ニ病設定の主人公が受け付けなかったものの、中盤にかけてのヒロインなんて知ったことかと家族のためにがんばる姿はかなり良かった。というか、主人公に限らずほかのキャラクター造形もかなり良い。まあ、主要人物となる家族が多いし、内容的にも必然的にスポットの当たる人物は限られていたけど、それはページ数的に仕方ないのかなと。その辺りは続刊でということだろう。個人的には、外見に反して熱血な次男の刻人と、ヒロインで存在感はある癖にストーリー上はほとんど活躍していない香奈子が好み。
家族愛がテーマとなっていて中にはそれなりに暗い所もあったけど、ライトノベル的な軽さがそれらを緩和していて、読みやすくも心がほっこりする作品だった。文章の軽さが気にならないのなら、ラノベ以外が主食の人でもぜんぜん楽しめる作品だと思う。
ちなみにイラストは、とある漫画のジャンルで有名なさめだ小判さん担当。決して表紙買いではないけど(強調させて)、表紙もかなり良くて気に入ってます。うーん、次巻も買っちゃおうかなあ。
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