2012年8月1日水曜日

清涼院流水「ジョーカー 清」




屍体装飾、遠隔殺人、アリバイ工作。作中作で示される「推理小説の構成要素三十項」を網羅するかのように、陸の孤島・幻影城で繰り返される殺人事件。「芸術家」を名乗る殺人者に、犯罪捜査のプロフェッショナルJDC(日本探偵倶楽部)の精鋭が挑む。


 いきなり冒頭部分で「この物語の最初から数ページ以内にあなたは完全にダマされる」とある、かなり挑戦的な本書。本書は、「ジョーカー 旧約探偵神話」を文庫化の際に二冊に分割したうちの上巻。ちなみに同作者の「コズミック 流」の前書きで、「コズミック 流」→「ジョーカー 清」→「ジョーカー 涼」→「コズミック 水」というなんとも奇妙な読み方を推奨されたため、素直にそれに従って読んでます。

今回は、「流」の方では最後のほうでちらっとしか登場しなかったJDCの探偵が序盤から数多く登場。「流」が密室殺人を箇条書きのように淡々と描写するだけだったのに比べると、連続事件がどんどん展開されていく本書はちゃんとミステリーとして読めて嬉しい。しかし、最初の部分でミステリーの歴史が語られたり、これまでの物語は全て作中の登場人物が書いたノンフィクションの小説でしたー、みたいな要素があったりとどうもメタっぽい雰囲気。さすが大説、一筋縄ではいかない感じがぷんぷんしている。

また登場する探偵たちもかなり変わっていて、どれも少年漫画の必殺技みたいな推理方法を持っているというかなりトンデモな設定。でも、作中では別段そんな特殊な推理はしてないような気が……。それになんかその推理自体もただ言葉遊びをしているだけで、あまり推理自体が進展している気配がない。

といってもまだまだ上巻。前半部分で事件の真相が明かされるはずもないし、次の下巻でどのように事件が解決されるのかが楽しみ。……ちゃんと解決されるよね?

0 件のコメント:

コメントを投稿