心がざわつくオムニバス短編集その2。
1巻と同じく十二話収録で、話の割合としては前巻よりもややダークな話が多めな印象。1巻もかなりクオリティーが高かったのだけど、今回はその平均値さえも大きく上回っている。
2巻を読んで思ったのが、この作者は台詞や一コマ一コマを印象的に描くことが抜群に巧いということ。例えば、「金魚」の最後のコマでの少女の後姿や、「こわいものみたさ」の『とれちゃった』という台詞など、あえて詳しいことは描かずに読者に想像させるという手法が非常に効果的。読んだ人はわかると思うけど、後者なんかはこの巻では最も印象に残る台詞だと思うし、また、小学生が不良にカツアゲされる「ニッポン嗚呼~」なんかも、最後までコメディだと思わせておいてのあのコマ・展開であるため、衝撃的なトラウマになる。
というか、今回は「こわいものみたさ」、「ニッポン嗚呼~」、「世界の中心」とかなりトラウマ回が多い気がする(そしてその三つともどれもが方向性が異なっているのが面白い)。
だけどそんな一方で、人の話を聞くのが好きな女の子と、話したいことがありすぎて複数の話題を平行して話してしまうクラスメイトの「こんなにたくさんの話したいことがある」なんかもまた別のベクトルの快作であり、文字だけでは表現できない、漫画特有の狂った美しさが冴えていた。
そんないろんな意味でハートフルな短編集、「空が灰色だから」。1巻に続きお勧めです。
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