少女はあくまで、ひとりの少女に過ぎなかった…、妖怪じみているとか、怪物じみているとか、そんな風には思えなかった。―西尾維新、原点回帰にして新境地の作品。
今をときめく売れっ子作家、西尾維新のデビュー十周年記念的作品。
思えば、僕が読書に目覚めたのも、西尾維新のデビュー作であるクビキリサイクルを書店で手に取ったときからでした。そういう意味で非常に思い入れのある作家です。
本作の内容は、小説家としてデビューして十年目の小説家である主人公が十年前の事件を語るというもので、読者からすると、まるで著者である西尾維新が語っているように思わせるような構成となっている。ひねくれ者がひねくれて書いた私小説みたいな。
物語としては意外性もないし、文章も今までにましてクドいため、そこまで面白いとは思わなかったけど、それでも四十二章の『お話』はとても良かったと思う。もはやあの部分のために、この小説が存在していると言っても過言じゃない。ちなみに、原点回帰ではない。たぶん。
十周年記念作品と言うだけあって、ある程度(全部とは言わない。現に僕もすべては読んでいないし)これまでの著者の作品を読んで、かつ、受け入れれないとこの小説を楽しむことはできないかも。あくまでコアなファン向き。
皮肉でもなんでもないんだけど、西尾維新ってひねくれた作風の割にハッピーエンドが好きだよね。そのあたり妙に人間味があるというか。
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