大橋賢三は高校二年生。学校にも家庭にも打ち解けられず、猛烈な自慰行為とマニアックな映画やロックの世界にひたる、さえない毎日を送っている。ある日賢三は、親友のカワボン、タクオ、山之上らと「オレたちは何かができるはずだ」と、周囲のものたちを見返すためにロックバンドの結成を決意するが…。あふれる性欲と、とめどないコンプレックスと、そして純愛のあいだで揺れる“愛と青春の旅立ち”。大槻ケンヂが熱く挑む自伝的大河小説、第一弾。
学生の頃、もしくは社会に出た今でも、(それが真実かどうかは別として)自分が他人とは違う特別な存在だと思いこんでいる人は多いと思う。人とは違う音楽、本、映画――そういったものを好むことで優越感に浸りつつも、自分自身はため込んだ鬱憤やコンプレックスを表現する手段がなく、ただ胸に焦燥感だけがくすぶっている。
是非、そんな青春時代を送っている人、または送っていた人に読んで欲しい一冊。下品で、バカで、泥臭くて、でも青春ってそんなものだよねって思えるそんな作品。この小説は、著者にとって自伝的でありながらも、そういった人にとっても自伝的であるような気がする。
大槻ケンヂのコミカルでちょっと寒い文体も、慣れれば味があるし、続きのチョコ編、パイン編を読むのが楽しみな作品。
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