2012年7月29日日曜日

魔法使いの夜 感想




1980年後半。華やかさと活力に満ちた時代の黄昏時。都会に下りてきた少年は、現代に生きる二人の魔女とすれ違う。少年はごく自然に暮らしてきて、彼女は凛々しく胸を張って、少女は眠るように隠れ住んで。三者三様の星の巡り。交わるることなんてもってのほか。何もかも違う三人の共同生活が始まるのは、あと、もうちょっと先の話



Fate/stay nightで手に汗握る中二病バトルを展開し、翌年に発売した続編hollow ataraxiaではサーヴァントやマスターの日常に癒されてから幾月。まさか、ここまで待たされることになるとは思いませんでしたよ、TYPE-MOONさん。どれだけamazonから延期メールが来たことか(笑)

そんなわけで、TYPE-MOON七年ぶりの新作「魔法使いの夜」の感想です。

今作は選択肢一切なし(番外編は除く)の完全一本道で、死亡フラグに溢れまくっていた月姫やFateと違いプレイ時間はかなり短めで、大体十七~八時間くらいだったかな。もう少しシナリオ量を増やしても良かったんじゃないのかしらんとか思ったりするわけだけど、まあそれは仕方がないのかもしれない。

というのも、演出が物凄い。

ノベルゲーをやっているというよりも、映画を見ているのに近い感じで、こりゃあ延期してしまうのも仕方がないよなぁ、と。新海誠ばりに細部まで書き込まれている背景や、クラシックのアレンジを多用した音楽など素材自体のクオリティの高さも相まって、ヴィジュアルノベルとしては最高峰なのは間違いない(と思う)。

シナリオに関しては、最後の戦闘シーンの盛り上がりがやや欠けていたのが気になったものの、それを除いても十分楽しめたと思います。あえて草十郎を語り部として置かずに、徹底的に三人称で進めていくというスタンスも面白く、プレイ後に思ったのが、主要人物である草十郎、青子、有珠のどれもが読者の視点に近くにいなかったからこその三人称だったのかもしれないなーと。いや、根拠とか全然無いんですけど。

あと個人的な要望としては、草十郎が雑居してからの日常をもうちょっと描いてほしかった。間章や番外編だけだと少々物足りない。まあ、それは確実に出るであろう続編orファンディスクに期待ということで。

シナリオライターである奈須きのこさんが「魔法使いの夜」を「原点」というだけあり、過去作品のキャラクターを髣髴とさせる登場人物・展開・関係性が出てきたりして、型月ファンとしてつい口元が緩んでしまう作品であったと思います。正直なところ、多すぎるスピンオフ作品や次回作までの長すぎる空白には呆れてしまうこともありましたが、このような作品が生み出せるのなら、これから先も1ファンとして追って行くしかないのかなぁと。というわけで次回作は2年後くらいまでにお願いします(笑)

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