2012年7月29日日曜日

寺田寅彦「柿の種」



日常の中の不思議を研究した物理学者で随筆の名手としても知られる寺田寅彦の短文集。「なるべく心の忙しくない、ゆっくりした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という願いのこめられた、味わいの深い一七六篇。


 大正時代の物理学者が書いた随筆集。いわゆるエッセイというやつ。
 僕は本を一気読みするタイプなのですが、今回は時間をかけて読みました。

 九十年近く前に書かれたとは思えない著者の着眼点には脱帽。といっても、科学の知識があることを前提としているような堅いものではなく、日常の一ページを著者特有の観点から見たものが多く、心がほっこりしたり、くすっと笑えるような要素も多い。ついつい手が止まらなくなってしまうのは、まさに柿の種(笑)。

 一編一編がとても短く、大抵が一ページ、長くて二ページちょっとしかないので、電車の中でも続きを気にすることなく、すっきりと読むことができます。一日一編とマイペースに読んでいくのもいいかもしれません。

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