2012年7月29日日曜日

大槻ケンヂ「グミ・チョコレート・パイン パイン編」




冴えない日々を送る高校生、大橋賢三。山口美甘子に思いを寄せるも、彼女は学校を中退し、着実に女優への道を歩き始めていた。そんな美甘子に追いつこうと友人のカワボン、タクオとバンドを結成したが、美甘子は女優として鬼才を発揮しながら共演の俳優とのスキャンダルや秘められた恋を楽しんでいた…煩悩ばかりで健気な賢三と自由奔放な美甘子の青春は交錯するのか?青春大河巨編、ついに完結。

ようやく読み終わりました。三部作の最終巻、パイン編。
解説が滝本竜彦さんで、そういえばこの人も大槻ケンヂに影響を受けてるんだよね。

青春小説ってのは大まかに、青臭いエネルギーの爆発を描こうとするタイプ(同じバンドものだと「ぎぶそん」や「階段途中のビッグ・ノイズ」あたりかな?)と、じめじめと鬱屈した感情の爆発を主題にしているタイプの二つに分けられる気がする。要は主人公がリア充タイプなのか、ひねくれ者のオタクなのかの違いなんだけど。
そういった読者からしてみれば物語の楽しみ方が異なってきて、前者は第三者として純粋な物語として、後者は主人公と自分と一体化させることによって物語に浸かっていく、という読み方になると思う。そういう意味では、僕にとってこの小説は非常に痛い小説だった。
このシリーズの中で、主人公を含むほとんどの登場人物は成長していくわけだけど、そこで全員が理想の自分になれたのかというとそういうわけでもない。もしかすると夢を叶えるのと成長するのは全く別のベクトルにあるというか、むしろそれはまったく逆なのかもしれない。でもそれって、悪いことじゃないと思うし、思いたい。

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