2012年7月29日日曜日

海猫沢めろん「零式」



大戦末期の1945年、帝国本土への遠征特攻を敢行した皇義神國は、報復の原子爆弾投下により全面降伏する。そして半世紀後、帝国統治下で鎖国状態の神國。原始駆動機“鋼舞”を駆る孤独な少女・朔夜は、己の破壊衝動をもてあましていた。しかし運命の夜…朔夜の荒ぶる心臓と、囚われの天子・夏月の夢見る翼が出会うとき、閉塞世界の根底を揺るがす大いなる物語が幕を開ける―期待の新鋭が描く、疾走と飛翔の青春小説。


 著者は海猫沢めろんさん。もう名前からしてただ者じゃない。
 元エロゲのシナリオライターでありながら、最近では文学賞を受賞してるというよくわからん人。さらにホストの経験もあるとか。
 元々『左巻キ式ラストリゾート』が読みたかったんだけど、アマゾンにはなかったのでこっちを購入。

 で、肝心の中身だけど、これが結構おもしろい。暗澹とした世界をスピードと勢いで駆け抜ける少女たちによって、一気に物語に引き込まれます。おまけに最後には、あっと思わせるような複線回収があったり、物語として破綻することなくきれいに終わっているのも良い。
 世界観がかなり複雑なので最初は取っつきにくいと感じるかもしれないけれど、読み進めてみると意外とそうでもない。印象としては、SF的なガジェットも含まれたヴァイオレンスな青春小説といった感じ。この人の他の作品が読みたいんだけど、文庫版でないかなあ。

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