2012年7月29日日曜日

米澤穂信「クドリャフカの順番」




待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲―。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに…。大人気“古典部”シリーズ第3弾。


 「氷菓」、「愚者のエンドロール」に続く古典部シリーズ第三弾。アニメ化に伴って、最近の版は表紙が京アニver,に差し替えられているようです。

 今回の舞台は文化祭。これまでの二作の根底に文化祭があっただけに、読者としてもやっときたかーとテンションがあがっちゃいますね。といっても、あとがきにも書いてある通り、我らがホータロー君はひたすら文集を売っているだけなんですが(笑)。

 これまでの二作とは違い、本作は古典部の四人による複数視点。各々の内面がより深く描かれていて、より「青春」ミステリーっぽくなっています。料理対決や漫画研究部のごたごたは、非常にニヤニヤさせていただきました。

 ですが勿論、「ミステリー」の方も忘れてはいけない。古典部員に立ちはだかる(物理的な)山の問題と、連続盗難事件が段々絡み合ってくるのはかなり秀逸。ミステリーとしては、これまでで一番完成度が高く感じる。

 今回の主人公は古典部全員ということで、個人的には視点がころころ変わるのはあまり好きではないんですが、テンポがいいのでそこまでは気になりませんでした。にしても、このシリーズを読んでると、自分の灰色の高校時代を思い出してちょっと鬱になる。こんな青春を送ってみたかったなぁ……なんて。

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