その日、一大ブームを起こしたゲームはサービス終了を迎えるはずだった。
――しかし、
終了時間をすぎてもログアウトしないゲーム。
意思を持ち始めたノンプレイヤーキャラクター。
なにやらギルドごと、異世界に飛ばされてしまったらしい! ?
骸骨の肉体を持つ最強の大魔法使い――モモンガの本当の伝説がここからはじまる!
ネットで圧倒的人気を誇るWEB小説が堂々書籍化!!
イラスト、総フルカラー掲載!!
SAOや魔法科高校の劣等生、ログホライズンなど最近ではweb小説が書籍化されたものが好評を博しているようですが、先日発売されたこのオーバーロードも同じようにweb小説投稿サイト「小説家になろう」に連載されたものを書籍化したものです。web連載→書籍化という図式は出版時には既に一定のファンがいるため、初めからある程度の売れ行きが見込まれるというのが心強いですね。
ただそれに味を占めた出版社がweb小説書籍化を連発されると、書籍化作品全体のクオリティーの低下に陥ってしまうような気がするのですが、その点に関してはこの作品は書籍化されるのが納得のクオリティーだと思います。
あらすじとしては、ネトゲ世界で超強い主人公がネトゲのキャラクターそのままの姿でファンタジー世界へ放り込まれるという、いわゆる「VRMMORPGの最強もの」となっていて、これは「小説家になろう」というサイトではかなり人気を誇っているジャンルだったり。
今回の書籍化にあたって、新キャラ(ヒロイン)が追加されたことで、それに伴ってラブコメっぽい描写が増えていたり、そもそもあらすじが変わっていたりなど、web版と比べて大きく加筆修正を行っています(たぶんこの先はweb版とは異なる展開になったりするんじゃないかな)。これ実際ほとんど書き直したんだろうなあ……。
黒をベースにした装丁やダークファンタジーっぽい表紙も格好良くて非常に満足。また各章の頭にはカラーの挿絵や巻末のキャラクター紹介(今回紹介されているのはモモンガ、アルベド、アウラ、マーレの四人)もなかなか良い。サイズは普通のライトノベルよりも少し大きめのB6で、ページ数も400ページ近くもあってかなり厚く、これで千円はかなり安いと思う。つーか400ページあっても、「小説家になろう」に投稿されている「オーバーロード:前編」の全98部中、13部あたりまでしか収録されてないって……このままだと軽くシリーズ十冊は超えそうだなあ。それはそれでかなり楽しみではあるのだけど。
ひとつ注意点としては、身も蓋もない言い方をするなら、この物語は基本主人公至上主義であり、周りが主人公を持ち上げまくっているため、そういうのが苦手な方は手を出さないほうがいいかもしれません。逆に主人公が敵を圧倒的力で屠ってくのに爽快感を覚える方にはジャストミートでしょう。どちらにせよ、購入前には一度web版に目を通してみることをお勧めします。
とにかく巻末の予告によれば続巻は今年の冬発売ということで、web版も含め、かなり楽しみです。